魔法を失う日

衆愚と批評

魔法は在る日を境に突然なくなったりはしない。魔法によって自分を運んでくれていた船がいつの間にか止まってしまっていることに、いつの日か気づくのだ。自分のまわりの世界が止まっていることに気づいてはじめて、自分が魔法を使えていたと知ったのだとしたら、なんと不幸なことだろうか。あなたにはもはや魔法の力はないのに、魔法によって過ごせた楽しい思い出だけが存在するのだ。いまとなっては船を降りる覚悟もできぬまま、餓死するまで言い訳と躊躇にとらわれるだけだ。その前に精神を病んでしまうかもしれない。
魔法は、心と世界を繋いでくれていたのだ。

誰もが本当はかつて魔法を使えたのだということを、私は知っている。

昔の記憶を思い出せなくなるのといっしょに、魔法の力も失われていく。
失われていく前に見つけなければならないものは、あなたの半身、肉体である。
肉体と繋がって魔法使いは人間となる。その足で地球を回し、肩で風を切って喜びを感じる。
あなたはあなたの船ではなく、魔法を失った人の船が止まっているのに気づいたとき、魔法が存在したことを知る。魔法によって過ごした幸せな日々は、あなたの目指すべき目標に変わる。頭と身体で考え、頭と身体で幸せを作っていこうとする。

 

魔法が、自然に存在した世界ではそうだった。

衆愚と批評

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