新しい喧騒を発明した者ではなく、新しい価値を発明した者のまわりを、世界はめぐる。世界はめぐる、音もなく、しずかに。
いさぎよく認めるがいい。お前の喧騒と煙がおさまれば、ほとんど何も起こっていないではないか。ひとつの都市が廃墟となり、ひとつの柱像が泥のなかに転がったからといって、それが何だ。
—- 『ツァラトゥストラかく語りき 』より
IoTだM2Mだと言われてるが良くわからん。バズワードなのは良いとして、その背後で起きている価値の変化はなんだろうか。例えばDeep Learningの背後では、特徴抽出の自動化というパラダイムシフトがあった。IoTの背後にあるものはなにか。
ちょっと冷静に考えるとわかるが、インターネットに繋がる意味のあるモノと、無いものがある。冷蔵庫は繋がる価値がありそうだが、髭剃りはあんまり価値が無さそうだ。これらの違いは、保有する情報の量(冷蔵庫 > 髭剃り)のみならず、そのモノが実現している機能にも関係がある。冷蔵庫は分散化することでコンビニに限りなく近づいていくし、買い足すことで拡張可能だ。
分散化や、拡張。このように、PCやスマホのインターネット端末としての特徴を抽象化したものこそ、モノがインターネットに繋がった時に得られる価値を支えているはずだ。それらは以下の3つのabilityであると僕は考える:
- Adressable:
- Internetを通じて各機器にアクセス可能であること
- Programmable:
- 挙動をユーザーのプログラムによって制御可能であること
- 公開APIまたは、ファイルフォーマットをオープンにしておくこと
- Scalable:
- そのHardwareの提供する最も大事なValueが、クラスターとなることで強化されること
TCP/IPによって端末に一意にアクセスでき、挙動をプログラム可能となったことで情報・計算の共有・分散が可能になったことが、インターネット端末の起こした革命の背後にある機能だ。
非線形な情報の結合によるハイパーメディアのように、モノが非線形な結合によって個の総和を超えた価値を持つこと。それが今までにない価値となる可能性がある。安易だが、上記の3機能を持つモノを、Hyper Hardwareと呼びたい。PCやスマホはHyper Hardwareである。(スマホがProgrammableかというと少し怪しいが。)ルンバはAdressableではないし、scalabilityをあまり考慮されていない(Programmableであることでこれらを解決する可能性はある)。
そうすると、Hyper Hardwareはまだ生まれていないことがわかる。IoTが良くわからないというのも、価値を持った製品(Hyper Hardware)が登場していないからなのかもしれない。
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